社会保険労務士事務所 リバシティーオフィス・市川孝友が答える労務相談Q&A
「異動・配置転換」
Q.分院にて5年ほど勤務する営業職の社員を、人事異動で他の分院へ同じ職種として転勤するよう命じました。しかし、交際している彼女が現在の勤務地にいるので、転勤はできないといってきました。この理由で転勤拒否をしてきた場合、転勤させることはできないのでしょうか?
A.まず、就業規則、雇用通知書、入社時の誓約書等に「転勤を命ずる場合がある」とういう旨の定めがあれば、医院が転勤を「業務上必要」であることになり、社員に正当な理由がなければ転勤を拒否することはできません。しかし、医院の転勤命令もすべて認められるわけではなく、その転勤命令が、社員に対し「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」を与える場合は、職権の濫用として転勤命令が無効となる場合もあります。例えば、本人の家族にて介護をしなければならない人がいて、かつ家族にて当人以外に介護する人がいないため、単身赴任ができない場合は、転勤を拒否することができます。しかし、そういった理由がない場合は、医院は個別的に同意無しに転勤を命ず事が出来ます。上記案件では転勤拒否した場合、一般的には「業務命令違反」で懲戒解雇、もしくは本人との話し合いにて自己都合退職となるのが一般的です。