社会保険労務士事務所 リバシティーオフィス・市川孝友が答える労務相談Q&A
「計画年休について」
Q.計画年休とはどのようなものですか?
A.わが国の労働者の年次有給休暇取得率は50%前後で推移しています。
同僚や上司、あるいは職場の雰囲気に気がねした結果、取得率が伸び悩んでいるのが現状です。
このような中で、取得率を上げる手段として、職場で一斉に年次有給休暇を消化するようにすれば最も効果が期待できます。そこで、労使協定を締結することによって、計画的に年次有給休暇を消化する仕組みを「計画年休」といいます。
計画年休を実施するには、労使協定により、年次有給休暇を与える時季に関する定めをすることになります。このように、労使協定を締結することによって、強制的に時季が指定されてしまうことになりますが、労働者が持っているすべての権利を指定されてしまうのでは、本来、労働者が権利を行使したい時季に使えないことになってしまいます。したがって、労働者個人が自由に利用して良い日数を確保しています。5日を労働者が自由に行使できるように残しておきます。5日を超える部分は、計画年休として使って良いことになります。例えば、付与日数が20日である労働者の場合、5日は自由に利用でき、残りの15日を計画年休の対象とすることができます。ちなみに、この労使協定は、所轄労働基準監督署への届出を要しません。
計画年休を実施するうえで、新入社員のように、そもそも年次有給休暇が付与されていない労働者を含める場合は、労働基準法を上回るかたちで付与するか、休業手当を支払って一定の生活保障をする必要があります。
また、労使合意による定めをしているわけですから、後から指定を変更することはできません。
例えば、計画付与で年次有給休暇に指定された労働者を就労させる必要が生じた場合であったとしても、指定日を変更することはできません。