社会保険労務士事務所 リバシティーオフィス・市川孝友が答える労務相談Q&A
「割増賃金について」
Q.割増賃金から除外される賃金にはどのようなものがありますか?
A.割増賃金の計算の基礎から除外される賃金には、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金があります。
このように法律で規定されていますので、使用者が勝手に決めても通用しませんし、仮に労働者との合意があったとしても除外賃金とはなり得ません。
除外される賃金の中でも注意すべきは、家族手当と住宅手当でしょう。
家族手当は、どのような名称であれ、扶養家族の有無・数によって算定される手当であれば割増賃金の計算の基礎から除外されます。
したがって、扶養家族の数に関係なく一律に支給していれば家族手当という名称であっても割増賃金の算定基礎に算入しなければいけません。
住宅手当も同様に実質的に判断されますが、たとえ名称だけ住宅手当であったとしても住宅形態ごとに一律に定額で支給されるものは通常の賃金と同様に割増賃金の計算の基礎とされます。例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円といったように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給するものについては通常の賃金と同様に扱います。
したがって、家賃の費用に按分比例したかたちでないと除外賃金とはなりません。