社会保険労務士事務所 リバシティーオフィス・市川孝友が答える労務相談Q&A
Q.パワハラとは何ですか。
A.パワハラ(パワーハラスメント)とは、一般的に「職権などのパワーを背景にして本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること」とされています。
平成17年に実施された中央労働災害防止協会(厚生労働省の外郭団体)による東証1部上場企業を対象とした調査において、
 1 約4割の企業で、パワハラまたはそれに類似した問題が「発生している」
   または「発生したことがある」
 2 パワハラの発生が「ある」「あった」企業の8割以上で、パワハラを受けた
   社員のうちある程度の者にメンタル面で何らかの問題が生じている
 3 8割以上の企業がパワハラ対策を重要と認識
という結果が報告されています。

日頃、業務上指揮命令する関係にある上司と部下において、どういう行為がパワハラになるのかの判断は難しい面もありますが、一般論としては「業務上必要な範囲を逸脱していないかどうか」を判断材料とすることになります。

上司の行為がパワハラに該当し、部下にメンタルヘルス不調などによる損害が発生した場合には、その上司に損害賠償責任が発生するだけでなく、使用者(会社)もまた、職場環境配慮義務や上司に対する監督を行ったとして、債務不履行責任(民法415条)や使用者責任(民法715条)に基づく損害賠償請求を受けることになります。