社会保険労務士事務所 リバシティーオフィス・市川孝友が答える労務相談Q&A
Q.突然社員が出勤しなくなりました。連絡もつきません。社会保険料負担や他の社員への考慮から、解雇したいのですが。
A.いわゆる行方不明の社員に対する解雇の取り扱いですが、その手続きは非常に難しいです。
法律的な解釈から言えば、「解雇」という使用者側からの一方的な意思表示による労働契約の解消行為が効力を得るためには、労働者側にその意思表示が到達することが必要になります。よって、行方不明の場合には、その意思表示を労働者に到達させることが出来ないために、解雇手続きが非常に難しいのです。
行方不明だからといって、使用者側が勝手に解雇手続きをしてはいけません。その後に「不当解雇」と訴えられるリスクが非常に高くなってしまいます。

行方不明者に対しては、裁判所に「公示による意思表示」を申し立て、解雇した事実を2週間裁判所の掲示場に掲示することにより、意思表示の到達があったとみなす手続きを行います。

それよりも有効な手段としては、就業規則等に、「会社に連絡がなく、50日を経過して会社も所在をしらないとき」という、「当然退職」の基準を明確に規定することです。